いきいきブログ
大切な人への贈り物
佐渡に来ています りょうた
春のかおりに誘われて
3.11に寄せて
10年前の3月11日、新潟県にある事務所で仕事をしていた時に
ゆらゆらとした大きな不気味な揺れを感じました。
「震源地から離れているのにこんなに揺れるなんて…」という不安は現実のものとなり、
未曾有の大震災となってしまいました。
実はそのとき小社では、2011年7月刊行の予定で『相馬・双葉の昭和』の取材を進めているところでした。担当者は編集作業の最終段階で、福島県大熊町にて取材中に地震に遭遇。
幸いにもなんとか帰ってくることができましたが、
現地は当然書籍を刊行できるような状況ではなく、企画はしばらく眠ることになります。
一方で自分自身20年以上の消防団活動があったこともあり、
すぐさま必要物資を車にありったけ積んで被災地へ入りお世話になった方々へお届けしたり、
各市町村へ寄付をしたりしましたが、
いき出版として被災地にできることは何なのかを模索する日々が続きました。
2年ほど過ぎた頃、被災された現地の方より
「例の写真集はどうなったの?」「明るい話題が欲しいからぜひ出版してほしい」という声が届き始めます。「昭和時代の楽しかった思い出」をキャッチフレーズとする小社の写真集、
被災された方々の胸にどう届くのだろう…と不安もありましたが、
幸い写真取材はほぼ終わっていたこともあり、2014年2月に刊行することといたしました。
双葉郡の各町村の役場さまからは、全国に避難生活を余儀なくされている方のために、
書籍の案内を広報誌にはさんで届けたいとお申し出もいただきました。
ありがたいことに刊行後たくさんの喜びのお手紙やお電話をいただき、
お客様の思い出の一端にふれるなかで、
小社にしかできない被災地への貢献とは、
昭和の懐かしい写真をお届けすることで
楽しい思い出を振り返るお手伝いをすることだという思いを強くし、
以降『仙台市の昭和』『多賀城・塩竈・富谷の昭和』『宮城三陸・登米の昭和』
『岩手県北の昭和』『岩手沿岸の昭和』『いわき市の100年』と刊行させていただいております。
これらの書籍は他の書籍より多めに在庫をもち、
刊行後に書籍を知った方へもお届けできるようにしてあります。(『いわきの市の100年』は完売)
昨年はコロナ禍により、大切な人に会いたくても会えない状況が全世界的に続きました。
大事なことは日常に埋もれすぎていて、失われてから気が付くものです。
楽しいときを過ごした街角は年々変化していきます。
大切な人と過ごした日々もいつのまにか過ぎていって全てを覚えていることはとても難しいものです。
でも1枚の写真をきっかけに、忘れかけていた思い出がよみがえってくるかもしれません。
そのお手伝いをするために、小社は今日も各地を取材で駆け回っています。